土曜日は、AXIOMという人材紹介会社が主催する留学生向けのキャリアセミナーに参加してきました。HBSの先輩でもある楽天の三木谷社長が講演されるので、お話聞いてみたいなと思い申し込んでいたのですが、直前になって業務のご都合で参加できないということで残念だなと思っていたのですが、三木谷さんの代わりに講演された楽天執行役員・採用育成本部長の野田公一さんのお話がとても面白かったです。
野田さんは大手都銀に1988年に入社し、1998年にHBSを卒業された後、派遣元の大手都銀に一度戻った後、1999年にインクスという金型製造の会社に転職し、2004年に楽天に移られたとのこと。講演では、主にインクスに移った際のお話をしてくださったのですが、これが大変面白かったです。インクスという会社は金型製造の企業で、私は不勉強で名前しか知らなかったのですが、職人の経験とノウハウに頼りがちな金型製造業界の中で、3DCAD等を駆使したデジタル技術に基づき職人芸を仕組み化することで、金型製造に画期的な生産性向上をもたらした企業とのことでした。
野田さんが入社された当時、インクスは技術者100人くらいで構成される企業で、技術力は大変高いのだけれども、管理などのマネジメントが非常に弱いという状態だったそうです。HBSを卒業されて、企業のマネジメントをやってみたいと思われていた野田さんは、銀行やHBSで培ったマネジメントスキルを、この非常に高い技術力を持っているけれどもマネジメント力が足りずのび切れていない会社で活かしたいと思い、大手都銀から従業員100人くらいのインクスへの転職を決意されたそうです。
プレイングマネージャーとして自ら現場に入り、インクスを成長軌道にのせた野田さんは、次に野村プリンシパル・ファイナンスと組んで雷鳥ファンドという金型製造業への投資を行うファンドをインクスで立ち上げ、インクスの持っている高い金型製造技術を他の金型製造企業に横展開するという仕事をされたそうです。野田さんは、雷鳥ファンドでも投資先の金型メーカーをハンズオンで立て直し軌道に乗せられたそうです。
私も以前担当した製造業の案件で、金型の製造業における重要さは嫌というほど痛感していたので、日本の製造業を支える金型製造業に飛び込み、インクス及び金型製造産業全体の成長に尽力された野田さんの志にはとても感動しました。また、都銀から従業員100人くらいの中小企業に飛び込まれる勇気も大変なものだと思います。
野田さんはその後、三木谷さんに請われて楽天に転職し、現在は楽天の世界展開に向けて人材育成にご尽力されているそうです。講演後にご挨拶に伺ったところ、とても気さくな方で、色々と留学やキャリアへのアドバイスをしていただきました。
自分もどんなキャリアを進むかはわかりませんが、野田さんのように志をもって仕事をしていきたいなと強く感じました。
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