本日のInternational Entrepreneurshipのケースは、Microfinance International Corporationという、元東銀マンの枋迫篤昌氏(とちさこあつまさ氏)が立ち上げた、米国のヒスパニック系移民労働者に対して金融サービスを展開するソーシャルエンタープライズのケースでした。
MFICの主なビジネスは、銀行口座を持たない米国のヒスパニック系移民労働者の母国への送金を低コストで行うサービス。アメリカでは、移民労働者が年々増えているのですが、彼らの多くは知識がなかったり、信用力がないと既存の銀行にみなされることで銀行口座を持っておらず、母国への送金を行う際に多額の手数料を払わないと送金ができませんでした。そこで、MFICは中南米の金融機関と提携してネットワークを作り、不正な資金の送金をチェックするITシステムを構築し、圧倒的に低い手数料で送金を実現するビジネスモデルを作り上げました。さらに、MFICはこの送金時に発生する余剰資金を利用して、中南米のマイクロファインナンスを行う機関に融資をしており、中南米の貧困解決にも貢献しています。
ビジネスモデルの詳細は、ここやここ等を参照にしてみてください。
こうした世界に名だたるソーシャルエンタープライズを、日本人である枋迫さんが作られたということは本当に日本人として誇らしいことだと感じました。
今日の授業にも枋迫さんはケースの主役として参加されましたが、非常にソフトな雰囲気をお持ちの方で、他のクラスメイトも彼の作り上げたビジネスモデルに皆感銘を受けていました。
MFICの成功要因の一つとして、顧客であるヒスパニック系移民労働者に対して、MFICの店舗が非常にあたたかいサービスを提供していることがケースの中であげられていました。店舗に来店した際に、日中の肉体労働で汚れた手を拭くためのタオルを用意したり、非常にフレンドリーなサービスを提供しているそうです。他の金融機関では、邪険に扱われていたヒスパニック系移民労働者の人たちは、こうしたサービスに感動し、口コミで顧客は広がっていったそうです。こうした顧客へのおもてなしの心は、日本人が始めた企業ならではなのではないかなと感じました。一般的なアメリカのリテールのサービスレベルは非常に低く、日本に帰ってなんの店舗に入ってもサービスの質の高さに感動することが多いのですが、こうした日本的なサービスの質の高さが海外で差別化要因になっているよい事例といえるのではないかと思います。(当然MFICでも実際に店舗のオペレーションをしているのはアメリカ人だと思いますが、こうした店舗の従業員に顧客への高いサービスを徹底しているのだと思います。)
昨今の金融危機でビジネスに影響は出ていないのか?という質問がクラスで出たのですが、「自分たちの顧客は、サブプライム層よりも2段階も3段階も下の層に位置づけられる方たちであるため、ビジネスに影響はでていない。」との力強いお言葉でした。現在は、アフリカでもビジネスを展開されており、規制が変わったおかげで日本でもビジネスが展開しやすくことから近々日本進出も検討されているとのこと。今後も注目していきたいと思います。
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