リーマンブラザーズの破綻から約2ヶ月。金融の世界はガラリと様相を変えてしまいました。 リーマン破綻、バンカメによるメリルの買収、AIGの実質国有化、GSとモルガンスタンレーの銀行持ち株会社化、$700BillionのBail Outプラン、バークレイズのリーマン北米部門買収、野村のリーマン欧州・アジア部門の買収、MUFGのモルガンスタンレーへの出資、欧米主要銀行への公的資金注入などなど、夏に日本でサマーインターンを投資銀行とPEでやっていたころには想像もしていなかった出来事が立て続けに起きました。
特に、BailOutプランが米国下院で否決された時、モルガンスタンレーへのMUFGの出資が流れるのではないかという噂が流れた時は、さすがにこれはもうだめだと比較的楽観的だったやつらもこの世の終わりだ的な感じになっていました。
その後、世界各国の政府が取った施策や、GSとモルガンの増資によりパニック状態は抜け出しましたが、学生生活においては、金融関連の就職環境の悪化及びそれに伴うコンサル等その他の業種の玉突き的競争激化で、HBSの学生の多くが就職活動に関連してストレスを感じる日々です。この環境下で、HBS生の人気就職先であったPE、HedgeFundの多くはオファーを出すタイミングを延期し、悪い場合は採用を凍結するに至っています。IBankはそもそも数が減ったしまったためポジションも減っており、生き残ったIBankも当然採用を絞っています。そのため、コンサルティングの人気が急上昇し、そちらの競争も激化している模様です。
なかなかストレスフルな日々が続きます。
学校側も、学生に対してなにが起こっているか、これからどうなるのかといったInsightを提供するため、Turmoil on the Streetシリーズと題して、HBSの著名教授による今回の金融危機に関するパネルディスカッション、講演を多数開いています。ここ(On the Economic Crisis)で動画を見ることができますのでご興味のある方はぜひどうぞ。
自分は、ロバート・マートン教授の「それでは金融イノベーションはとまらない。イノベーションの多くは失敗するため、政府がイノベーションを事前規制するためには無駄なコストがかかりすぎる。」という主張に、なるほどと納得しました。今回の危機を悪化させた、CDOといった証券化商品やCDS等の金融イノベーションの産物はこれからも生み出されていくのでしょう。イノベーションは、金融市場の発展を促進しますが、同時に今回のような危機を程度の差はあれまた形を変えて引き起こすのだと思います。ということは、至極当たり前のことなのですが、発展もあれば危機もあるということを常に認識して、常にそういうことを予測しながら冷静に行動していかなければならないなのだなと思う日々です。(それができれば苦労はしないという説が有力ですが。。)
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