先日のPE Financeの授業でなかなか面白いディールソースの仕方をするTA AssociatesというアメリカのPE Fundのケースがありました。
TA Associatesは1968年に設立され、ケースの書かれた2005年時点で$10billion規模のAUMを誇る(現在は$12Bまで拡大した模様)、BostonベースのPEファンドで現在までの投資実績は380社に上ります。投資対象は年間15%以上成長しているGrowth CompaniesでValuationが$100M~$3B程度(主に中小、いわゆるMid-Capが多いようです。)の企業に投資しています。
このPEファンドの特徴的なところは、ディールソースにあたって、MBAに行く前くらいの若いアソシエイトが電話で投資対象になるような企業にColdCallをするというところにあります。イメージとしては、対象プロファイルに引っかかるような企業を財務情報などのデータベースから探して、「御社の事業内容に興味を持ちました。ぜひとも投資を検討させていただきたいのですが、一度お伺いさせていただいてよろしいでしょうか?」と電話する感じです。50人程度の投資プロフェッショナルの内、20人程度がアソシエイトで、この電話攻勢をしているそうです。一人のアソシエイトは年間500社程度にColdCallし、その内30社くらいに実際訪問させてもらえるとのこと。そしてその内10社程度に投資をするそうです。こうしたColdCallの実績に基づき約40万社の情報が詰まったデータベースをTA Associatesは持っているようで、過去のCall実績を生かしながら効果的なCallをしていくそうです。例えば、過去に電話した際に、今は資金は必要ないが2-3年したら店舗網を広げて事業を拡大させようと考えている、という情報が手に入った場合、その情報に基づき2-3年後にフォローをする等という地道なアプローチを数多くこなしているようです。
PEのディールソースといえば、①シニアクラスの投資プロフェッショナルがネットワークでディールを見つけてくる、②ピッチブックを作成し投資したい企業に提案しに行く、③オークションに入札する、④I-Bank等のアドバイザーがディールを持ってくる等があると思いますが、若いアソシエイトのCold Callによるディールソースというのは聞いたことがありません。(昔読んだ、ナニワ金融道で主人公が電話営業しまくっている姿を思い出しました。)
TA Associatesはこのスタイルで大きな成功を収めているとのこと。Mid-CapかつGrowth Companiesが対象で、PE Fundによる投資が活発なアメリカだからこそできるスタイルのように思えますが、PE Fundによる投資が日本社会でもっと受けいられるようになれば、こんなスタイルもありかもしれません。
ゲストスピーカーとして来たCEOのKevin Landryが話してくれた内容は、昨今のアメリカのLBOマーケットについてでした。ご存知のように米国の金融市場のメルトダウンで、LBOマーケットも現在はかなり縮小しており、Debtがつきにくい状況は継続しているとのこと。一方で、理論的にはローンがつきにくくなればレバレッジの度合いが減るのでTransactionValueは低くなるのですが、不況で少なくなった案件にPE Fundが集まり、Priceはまだ上昇しているそうです。(Growth系の案件に限ったことかもしれません)
このブログを書いている現在も、NY連銀でリーマンの救済策の昨日に引き続き話し合われている模様。アメリカの金融市場の混乱はまだまだ続くようです。
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